サフラン 高麗人参 ラフマ葉 セントジョーンズワート ラベンダー カモミール オメガ3脂肪酸 5-HTP カバカバ
うつ病に効く漢方・サプリメント
うつ病は、かなしみ、孤独感、おちこみ、興味を失うという症状のある精神障害であり、日本ではかなり一般的な症状です。
うつ病の治療には、抗うつ剤とカウンセリングにより症状を和らげるのが一般的ですが、一部の漢方やサプリメントが役にたつこともあります。
このページでは、うつ病に効く漢方・サプリメントについて、くわしく解説をおこないます。
うつ病に効く漢方・サプリメント① サフラン
サフランは、アヤメ科の多年草であるサフランのめしべを乾燥させたスパイスでの事です。サフランは何世紀も前から漢方薬として使用され、消化力の強化、月経をスムーズにし、気分を改善し、リラックス効果があります。
2018年からの研究などによると、サフランのめしべを服用すると、軽度から中度のうつ病の治療に効果があることが示されています。
この効果は、臨床データからも確認されており、選択的セロトニン再取り込み阻害薬(SSRI)のイミプラミンやフルオキセチンなどの抗うつ剤と同程度の効果を示すことがわかっています。
うつ病に効く漢方・サプリメント② 高麗人参
うつ病に効く漢方・サプリメントの2つ目は、「高麗人参」です。
高麗人参には、中国人参(Panax ginseng)、アメリカ人参(Panax quinquefolius)、シベリア人参(Eleutherococcus senticosus)があり、すべて同じ薬効があると考えられています。
高麗人参には、ジンセノサイドとジントニンという重要な化合物が含まれており、抗酸化作用、脳機能の改善、勃起不全(ED)の改善、免疫を高める、などの効果が認められています。
これらの高麗人参の特性により、うつ病による不安や、落ち込みといった気分障害を改善できる可能性が期待されています。
うつ病に効く漢方・サプリメント③ ラフマ(羅布麻)葉
ラフマ(羅布麻)は、中国西北部に分布する生命力の強い植物で、「紅麻」と「白麻」の2種類があり、古くから葉の部分は健康茶などに親しまれてきました。
近年になり、ラフマ葉に含まれるフラボノイド化合物には、セロトニンを増加させる効果がある事がわかり、うつ病に効く漢方薬・サプリメントとして注目を集めています。
ラフマ葉に含まれるフラボノイド化合物によりセロトニンが増えることで、睡眠・覚醒リズムを調整する「メラトニン」が増加し、睡眠の質が向上する効果があります。
うつ病に効く漢方・サプリメント④ セントジョーンズワート
セントジョーンズワート(セイヨウオトギソウ)は、黄色い花を持つ漢方・サプリメントの一種です。ヨーロッパ、アジアの一部、アフリカの一部、米国西部の至る所に分布しています。
西洋では古くから、うつ病や精神障害などの治療に効く漢方・サプリメントとして、セントジョーンズワート(セイヨウオトギソウ)使ってきました。
この漢方には、抗炎症作用、抗菌、および抗ウイルス作用もあり、皮膚の感染症や傷を治療するために広く使用されています。ただし、セントジョーンズワート(セイヨウオトギソウ)をうつ病の治療薬として試す場合には、注意が必要です。
2016年の研究によると、セントジョーンズワート(セイヨウオトギソウ)は軽度、または中程度のうつ病に対して、一般的な抗うつ剤と同程度に効いていたという結果がでています。
ただし、この研究において、セントジョーンズワート(セイヨウオトギソウ)には副作用があり、抗うつ剤としての利用には注意をうながしています。また、この漢方は抗うつ剤の効果を妨げる可能性があるため、注意が必要です。
セントジョーンズワート(セイヨウオトギソウ)は、一部の人にとってはうつ病に効く漢方薬として作用するかもしれませんが、その効果は実証されていません。
以上の理由により、抗うつ剤の代わりにセントジョーンズワート(セイヨウオトギソウ)を服用すべきではありません。
うつ病に効く漢方・サプリメント⑤ ラベンダー
ラベンダーはエッセンシャルオイルとして人気があります。ラベンダーオイルによるリラックス効果により、不安や気分の乱れを減らすことができます。
2013年の研究によると、ラベンダーが不安をやわらげ、睡眠を改善する可能性をもっていることがわかりました。
ラベンダーは、不安への影響を評価する研究で様々な結果を出しました。しかし、現時点では、うつ病の治療薬としての質の高い有効性の証明はありません。
うつ病に効く漢方・サプリメント⑥ カモミール
2012年の研究によると、カモミールがプラセボよりもうつ症状のより顕著な軽減があったことが分かりました。ただし、うつ症状の治療におけるカモミールの効果を検証するには、さらなる研究が必要です。
うつ病に効く漢方・サプリメント⑦ オメガ3脂肪酸
オメガ3脂肪酸は、サケ、マス、イワシなどの魚や、亜麻仁油にふくまれている健康に役立つ脂肪酸です。オメガ3脂肪酸は魚油カプセルとも呼ばれるサプリメントの形で摂取することができます。
研究によると、魚油に含まれるオメガ3成分であるDHAとEPAの摂取量が少ない人が、うつ病のリスクが高くなる可能性があることが分かりました。
オメガ3を摂取するためには、サプリメントを摂取する以外にも、サバやイワシの缶詰、または、刺身や焼き魚などをたべることで摂取することができます。
うつ病に効く漢方・サプリメント⑧ 5-HTP
5-HTPとは、5-ヒドロキシトリプトファンのことで、L-トリプトファンから生合成される化学物質です。
L-トリプトファンは、一般的な食品中に含まれており、体内でL-トリプトファンをもとに、5-HTPが生合成されます。
トリプトファンを含む食品は、下記のとおり。
- 鶏肉
- 牛乳
- 海藻
- ヒマワリの種
- じゃがいも
- かぼちゃ
5-HTPは、脳内のセロトニンを増やす効果があり、セロトニンを増やすことで、うつ病の症状が緩和する傾向があります。
5-HTPは、うつ病以外にも、睡眠障害、ADHD、月経前症候群、パーキンソン病などの治療に使われており、セロトニンの分泌によりこれらの症状が改善すると考えられています。
ただし、5-HTPを長期間服用すると、他の神経伝達物質が枯渇して悪影響をおよぼす可能性があるため、注意が必要です。
また、5-HTPをほかの薬と併用する際には、セロトニンを過剰に摂取する可能性があるため、十分に注意してください。
セロトニン過剰症候群では、心臓病や不安症などの副作用の可能性があります。
うつ病に効く漢方・サプリメント⑨ カバカバ
カヴァ、または、カバカバ(Piper methysticum)は、コショウ科の低木であり、その根には「カヴァラクトン」と呼ばれる向精神物質が含まれています。
カヴァの根からつくられたお茶やチンキは、何世紀も前からリラックス、または不安を軽減させるために使われてきました。
カバカバの精神薬理の研究によると、カバカバがうつ病の人に抗不安作用と抗うつ作用をもたらすことを示しました。
カバカバはうつ病の根本的な原因を改善するとは限りませんが、カバカバによりリラックスして落ち着いた気持ちになるかもしれません。
ただし、カヴァには過剰摂取と副作用のリスクがあるため、カヴァラクトンを長期間服用すべきではありません。
うつ病の症状
うつ病の症状は、下記のとおりです。
- 悲しみや絶望感
- 欲求不満やイライラ
- 興味・関心を失う
- 眠れない、不眠症
- 疲れやすい、倦怠感
- 食欲の増加、または低下
- 集中できない
- 死にたくなる
- 頭痛や腰痛などの、身体的症状
上記の症状のうち少なくとも5つを、少なくとも2週間以上、破壊的なレベルで経験している場合に、うつ病と診断されます。
うつ病の原因
うつ病の原因は完全に特定されていませんが、うつ病には下記の要因が関わっています。
- 脳の物理的な変化:うつ病では、脳に物理的な変化がある場合があります。
- 科学的な不均衡:脳の機能は、化学物質と神経伝達物質の微妙なバランスによってコントロールされています。これらの化学物質の均衡が崩れると、うつ病になることがあります。
- ホルモンの変化:ホルモンの変化により、うつ病を引き起こす可能性があります。ホルモンの問題には、甲状腺の障害、更年期障害、またはその他の原因があります。
- 人生で重大な出来事:愛する人との死別、仕事関係のストレス、経済的なストレス、またはトラウマにより、うつ病を引き起こすことがあります。
- 遺伝的な原因:あなたの近親者がうつ病と診断されている場合、うつ病を発症する遺伝的な要因があるかもしれません。
漢方薬によるうつ病の治療
一般的なうつ病の治療では、漢方薬ではなく、抗うつ薬とカウンセリングがおこなわれます。抗うつ薬は、科学的不均衡などの、根本的な身体的問題の解決に役立ちます。
カウンセリングは、人生の大きな出来事など、うつ病の原因となる可能性のある問題や状況に対処することに役立ちます。
漢方薬によるうつ病の治療は、多くの研究がおこなわれていますが、結果はマチマチです。そのため、多くの医療機関では漢方薬によるうつ病の治療をためらう傾向があります。
うつ病に効く漢方薬・サプリメント まとめ
漢方薬とサプリメントは、抗うつ薬やカウンセリングによる治療を受けている人にとって、適切な代替薬ではありません。
漢方薬やサプリメントは、他の薬と副作用や相互作用をする可能性があるため、医師に相談するひつようがあります。
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